2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

続・四畳半

彼女の上をいくつかの夏と何人かの男が通り過ぎて行って、季節は秋で、つまり春は終わって、だからこうして彼女は顔を覆ってうなだれているのだろう。 眼前に並ぶ10個の爪は粒が揃っていて、それはピアノの黒鍵を思い出させた。飲食店で働く彼女は爪を短く整…

四畳半ネットワーク

青年がその四畳半で考えていることといえば、大体総てのことだと言えるだろう。 切れかけている蛍光灯を変えるまでの手間であるとか、聞いたこともない国の通貨の流通についてであるとか、肉体を保持したままイデア界に行く手段であるとか、カブトムシが完全…