2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧
とても哀しいことばが思い浮かんだから、万年筆とスケッチブックに手を伸ばした。 柔らかくざらついた紙に万年筆でそっと触れて、しかし言葉はひじのあたりで止まったまま、文字にならない。まるで紙魚が食ったみたいに、インクが染みてゆくだけ(じわりじわ…
あたしは十六のとき、ぢゅんに教わって初めて三拍子というものを知りました。イディオットという題の曲ばかり聞いているあたしに同情したぢゅんはあたしにワルツを聞かせてくれて、あたしはその新しい感覚に陶酔。 なんせ、聞きながら歩こうとするとうまく歩…
蝸牛にどくどく流し込まれた一語 「 ろ く で な し 」 柔らかいささやきだったはずなのに 思い出すと金切り声にしか聞こえない苦痛 ああ愛してたよ、愛してた 嘘! 全然愛してなかった ちっとも好きじゃなかった おかげさまで顔も名前も髪の色も思い出せな…
街を歩いていて不意に鼻腔に流れ込んできた空気の匂いが、何の匂いなのか思い出せなかった。消毒液の匂いのような気がするけれど、よく研ぎ澄ませてみれば珈琲の匂いのような気もする。 まあ、なんでもいいし、どうでもいいんだ。 とりあえずその冴えない路…
しぬほどしにたいよるはたまにやってきてふたつの肺をごっそりと満たす 私には真夜中なんてやってこなくて夜中のつぎはもう夜明け 小文字と大文字と顔文字について口論をし半ば喧嘩別れとなったその夕方それでも私は君が好きだときづく 折れたヒールをハンカ…
穴を掘って頬張りつづける偏頭痛ちくりと痛んだ次は虫歯でしょうかデンタルデンタルデルタ地帯こんにちは白人のみなさま 嘘を吐く高い鼻に乾杯夢が汚れているのでなく 夢に汚されているのですよ獏が食べるべきはそれでないわそれでない わ た し あなたの所…