別にどうってことないの、ののこちゃんはブランコを蹴る。僕はピアノを弾き続ける。左手がひっきりなしに2オクターブ違いの音を乱打する曲だったが、僕の親指と小指は正確に位置を捉え続けた。 「ロマン派がいい」 「ののこちゃんはそればかり」 「きりくん…
繰り返す夏にどんな意味があるのかと問われたところで、私は困るばかりなので、質問の意図を問いなおす。質問で返されてたじろいでいる葉子が滑稽だった。 「睦子は暑さに弱い」 「ああ、滅びればいいと思います」 「でも夏は好きなんでしょ」 なつ、ナツ、…
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