落ちるは、光の帯

空が落ちてきた、その日は唐突で。
明日なんかすっぽかして明後日がきたみたいだったよ


ひかりは紫から紫へ輪廻転生カラフルで、わたしは虹は何色なのか数えようとして眩暈に教われ救急車に運ばれた。
隊員達もみんなくらくらしていて、ほら、なんせ空が落ちてきたから。
救急車をとめるのがぎゅうぎゅうで、発車させるのなんて無茶で、わたしは幸いにも応急処置で元気になったから救急車から降りようとした


のだけれど。


空がもう、地面擦れ擦れで。わたしは救急車から降りた瞬間から這いつくばるしかなくて。
それはそれは息苦しかったよ、いちばん大きいと思ってるものがわたしのうえ一杯におちてくるんだもん。


ファンシー?ホラー?SF?もうそういう次元じゃないもん、切実な問題
見たら救急車もばきばき音を立てて崩れそうになっていた
救急車の中から隊員さんたちも慌てて降りてきて、わたしと一緒になかよくぺちゃんこ



「ここ紫ですね」
「いきぐるしい」
「何色ですかね」
「はきけがする」
「緑いいですよ」
「さいけでりく」
「何色がお好き」
「ぜんぶきらい」



太陽が、落ちてくる
空が、空も。伴って。


人間が生きている


わたしは、わたしのおこがましさに。生きたいという力に。笑った。まだ死なない、生きてる、わたし生きてるんだ、こんなぺちゃんこになりながら!


体は最早ほとんど虹だった
そしてわたしは、リストカットをしてアームカットをして生きていた。
いま、生きていることが凄く楽しかった。


世界の終わりが、滅亡が、落下が、悪化が、目の前で


悲惨でなんかなかった。みんなうっとり目を回して笑っていた。
わたしはもうそろそろ融けたいと思う。だからおはなしはここで終わることにしよう。